ひとりで作る動画パイプライン:8時間を45分に縮めた話
2026-10-27 · 10 分で読了
10分の決算動画は8時間から45分になりました。エージェントが段取りを組み、2つのskillが基準を守り、SlideTalkがスライドと台本をそのまま公開できる動画に変えます。構造が明確で、情報密度が高く、出典が示せるテーマなら何でも応用できます。必須の3つの問いだけ差し替えて、残り3層はそのまま使ってください。
所要時間とコストは2026年10月に著者が同じ10ページの決算動画で実測した値です。45分にはテーマ選びと最終確認は含みません。
私は決算の解説動画を作っています。10分の1本に8時間かかっていて、その半分は手戻りでした。台本がずれて書き直し、言い間違えて録り直し、字幕がずれて編集をやり直す。
いまは45分です。手が速くなったのではなく、4つの工程の担当者が変わったからです。法務、健康、フィットネス、製品レビューのチャンネルを考えている人にも同じ構造が使えます。変わるのは表1枚だけです。
例は決算ですが、チャンネルを始めようと考えたすべての人のために書いています。法律、医療、フィットネス、ガジェットレビュー、キャリア相談。構造は同じで、変わるのは表ひとつです。
ごまかしなしのビフォア・アフター
8時間の内訳はこうでした。データ探しに90分、決算書を読むのに2時間、スライド作成に2時間、収録と編集に2時間半。
半分は手戻りです。視聴者が実際に見るものを生んでいたのは4時間未満で、残りは「ひとこと言い間違えた」代金でした。
| 工程 | 以前 | 現在 | 担当 |
|---|---|---|---|
| データ収集と出典確認 | 90分 | 5分 | エージェント+分析skill |
| 決算書を読み結論を書く | 120分 | 15分 | 分析skill |
| スライドに組む | 120分 | 10分 | PPTX skill |
| ナレーション・字幕・編集 | 150分 | 15分 | SlideTalk |
| 合計 | 480分 | 45分 | — |
同じ10ページの決算動画での実測値です。45分にはテーマ選びと最終確認を含みません。含めると実質1.5時間ほどになります。
変えたのはひとつだけ:「やる」から「承認する」へ
編集を覚えたわけでも、タイピングが速くなったわけでもありません。変えたのは「自分がやる」を「自分が承認する」にしたことだけです。
いちばんの失敗は、AIを「速い手」として使ったことでした。うまくいったのは、納品する同僚として扱うことです。基準と見本と合格条件を渡す。
- 以前の自分:データ収集、決算書を読む、スライド作成、収録、編集、タイトル、サムネイル——四人分の仕事を一人で
- いまの自分:テーマを決め、枠組みを与え、結論が成り立つか確認し、効く2文だけ書き直し、公開の判を押す
3層構造:段取り・方法・仕上げ
ひとつのAIが全部やるわけではありません。3つの層がそれぞれを受け持ち、どれも代替できません。
第1層はエージェント(私はWorkBuddy)。ローカルファイルを読み、コードを実行し、ツールを呼び、自分の出力を検査します。ただし司令塔であって職人ではありません。決算書の読み方は知りません。
第2層はskill。やり方を再利用できる指示パッケージにしたものです。読み方を扱うskillと、組版を扱うskill。一度書けば、以後は同じ基準で実行されます。
第3層はアプリのSlideTalk。スライドと台本を、公開できる動画に変えます。
モデルの乗り換えは安く、方法の乗り換えは高い。 だから価値があるのは真ん中の層です。方法はアプリの中ではなく、自分のskillの中にあります。

レイヤー1:決算を読むための4つの固いルール
スキルとはMarkdownの指示書です。何を入れ、どの基準で計算し、どの問いに必ず答え、出力はどんな形で、何を失敗とみなすか。決算用に4つを固定しました——
- 基準を固定:売上、粗利率、営業キャッシュフロー、設備投資、在庫回転を8四半期で同じ定義にする。基準が動けば前年比較は単純に誤りです。
- 必須の3つの問い:成長は本物か、現金は届いたか、期待との差はどこか。一つ欠ければそのページは未完成です。
- 出典ルール:数字には必ずページ番号と日付を付ける。出典がなければ数字は載せない。台本にも入りません。
- 出力の形を固定:結論1つ、根拠3つ、リスク3つ。自由な作文はなし。
狙いはモデルを賢くすることではなく、毎回同じことをさせることです。モデルは替わってよい。この4つのルールは替えません。
テーマを変えるとき、書き換えるのは表1枚
決算が向いている理由は3つあります。構造が明確(3つの表、前年比と前四半期比、ガイダンス。ページ割りが最初から決まる)、密度が高い(1ページ1結論で10ページが8〜12分)、出典が示せる(数字ごとに根拠があるので、視聴者は信じる必要がなく、確認すれば済む)。
テーマを変えてもパイプラインは動きます。書き換えるのはskillの中の「必須の3つの問い」だけです。
| テーマ | 骨格 | 必須の3つの問い |
|---|---|---|
| 決算 | 3表+前期比+ガイダンス | 成長は本物か/現金は届いたか/期待との差はどこか |
| 法務 | 条文+要件+判例 | 要件は何か/立証はどこか/敗訴はどう見えるか |
| 健康とフィットネス | 仕組み+エビデンスの強さ+手順 | 原理は何か/根拠はどれだけ強いか/誰に向かないか |
| 製品レビュー | 仕様+実測+結論 | どこが違うか/何を測ったか/誰が買うべきか |
骨格がページ割りを決め、3つの問いが「不合格」の判定を決めます。この2つが決まれば、組版と書き出しは自動です。
レイヤー3:資料と台本から公開できる形へ
レイヤー3だけは私が触りません。SlideTalkはPPT動画化だけでなく、公開キット一式を返します——台本、声、字幕と動き、完成カット、さらにサムネイル、タイトル案、概要、タグ、チャプター。
重視しているのは3点。Appleハードでネイティブ、Mac・iPhone・iPadで同じアプリ。ローカルレンダリング、動画は手元のマシンで合成され、端末から出ず、順番待ちもしない。登録不要、匿名アカウントですぐ使え、初回に600クレジット。
資料と台本を入れ、ひとこと伝えます——たとえば「決算を読む人向け、8分、二人インタビュー」。アプリが語りを書き、読み上げ、字幕を付け、効果を入れ、レンダリングし、サムネイルまで作ります。編集は創造的ではありませんが、終わっています。
残るのは判断ひとつ。AIが見つけた数字は耐えるか。以前と同じ確認で、ただ前の4時間がありません。
時短が実際に買っているもの
計算してください。90が5に、120が15に、120が10に、150が15に。480分が45分になります。
分よりコストが効きます。10枚の動画はAIクレジットで約88円。失敗の値段がほぼゼロになるので、毎日公開できます。
週4本、カメラの前に立つ時間ゼロ、それでも一人。ただし節約は7時間ではありません。今日の動画を作るかどうかの判断そのものです。
真似するなら、第3層から始めてください
逆から真似するのがおすすめです。skillの2層は自分で書く必要があります。自分の基準を先に決めないといけないからです。第3層はすでにあるので、まず使って、方法は後から足せば十分です。
手順は3つ。スライドをドラッグし、ひとこと伝え、書き出す。「決算の読者向けに、8分、二人の対談で」くらいで構いません。
コストは3つ。ダウンロードは無料。編集・試聴・レンダリング・書き出しは永久無料。登録で600クレジットが付き、1本半は作れます。10ページで約88円。初回チャージで倍になり、透かしが永久に消えます。サブスクなし、APIキー不要、クレジットは失効しません。
詳しい手順は顔を出さないチャンネルのページと顔を出さずに知識系動画を作るにまとめています。